未経験でも卒業時年収920万円、短期集中プログラミングスクールTuring

先日、あるプログラミングの教則本を読んでいたところ、その中で紹介されていた米国コロラド州のThe Turing School of Software & Designというプログラミングスクールの存在を知った。受講者の多くはプログラミング未経験者だが、卒業後の初年度年収の平均額は77,000ドル(約920万円)だという。このスクールのカリキュラムや生徒の選考過程、卒業者の経歴など様々な点で興味深かったため、スクールのWebサイトの内容のまとめてみた。

英語でのコミュニケーションに自信があり、プログラミングに興味がある方は是非挑戦してみてほしい。学費は17,500ドル(約210万円)とやや高めだがローンプログラムも用意されており、卒業後に平均額の年収(約920万円)の仕事に就くことができれば、3ヶ月以内に元が取れる計算になる。

概要

  • 学位や経験は一切不要。
  • Ruby on RailsというWebアプケーション開発フレームワークを用いて、約7ヶ月間のトレーニングを行う。
  • 卒業生の95%は卒業後3ヶ月以内に仕事を見つけている。また通常3つ以上の仕事のオファーを受けている。
  • 卒業後の給与のレンジは65,000ドル(約780万円)から115,000ドル(約1,380万円)、平均給与は77,000ドル(約920万円)。
  • 公開されている就業先としては、ソフトウェア開発・コンサルティング企業のPivotal Labsやthoughtbot、オンラインマーケットプレイスのLivingSocialやアメリカ合衆国国立公園局などがある。

教員、ボードメンバー

エグゼクティブ・ディレクター

  • Jeff Casimir
    • 世界でもっとも長いRailsの講師経験者。(2005年から)
    • RailsConf(Ruby on Railsのカンファレンス)の講演経験者。
    • Draperという100万ダウンロードを超えるRailsアプリケーション用ツールの作者。
ボードメンバー

カリキュラム

  • 1クラスは20から28人。インストラクターと生徒の比率は平均で1対12。
  • 授業はフルタイムで約7ヶ月間。6週間1タームで計4ターム。各タームの間に1週間の休暇がある。

第1ターム

  1. オブジェクト指向プログラミング
  2. Rubyでのコマンドラインツール開発
  3. テスト駆動開発
  4. Rubyの基礎
  5. テストの自動化
  6. リファクタリング

第2ターム

  1. データベースを利用したWebアプリケーション開発
  2. アジャイルによるプロジェクトマネジメント
  3. HTTP
  4. SinatraでのWebアプリケーション設計、開発 
  5. RailsでのWebアプリケーション設計、開発 
  6. MVCモデル
  7. 様々なレベルでのテスト
  8. データベーススキーマの設計、SQL
  9. Gitワークフロー

第3ターム

  1. サードパーティーAPIの利用、APIの開発
  2. 新規システム開発と既存システム開発における相違の理解
  3. Railsでのマルチテナントアプリケーション開発
  4. jQueryを利用したDOMの操作、RailsとAJAXの連携
  5. セキュリティーホールとその防止
  6. Emailの仕組み
  7. キャッシュ戦略とパフォーマンス向上
  8. Railsにおけるバックグラウンドワーカー

第4ターム

  1. JavaScriptの基礎
  2. JavaScriptでのオブジェクト指向開発
  3. 複数のJavaScript用テスティングフレームワークの利用
  4. クライアントサイドアプリケーションの開発
  5. Node.jsでのWebSocketを利用したアプリケーション開発

なおこのコースの他に、フロントエンド開発のカリキュラムもある。そこでは、HTML、CSS、JavaScript(jQuery、React、Ember)、及びNode.jsを利用したリアルタイムWebアプリケーション開発などを中心に学習できる。

入学選考

  • 特定の締め切り日はない。常時応募可能。
  • 現在までに約1,000人の選考を行い、選考を通過したのは全体の8%以下。

一次選考

  1. レジュメ
  2. 文章(コミュニケーション能力と複雑な問題の説明能力を証明する)
  3. ビデオ(自身のパーソナリティーや情熱、感性などを紹介する)
  4. ロジカルテスト(プログラミングの適正を測るための小さな課題を解く)
※一次選考の通過者は4人に1人程度。

    二次選考

    1時間の面接をGoogleハングアウトで行う。プログラミングとこのコミュニティーへの情熱、また共同作業を行う環境での適性などが確認される。

      ※二次選考の通過者は10人に1人程度。

      授業料

      • 学費は17,500ドル(約210万円)、選考通過後1,000ドル(約12万円)を手付金として支払う。
        • なお学費にはMacBookが含まれる。自分のMacBookを持ち込む場合は学費から1,200ドル(約14万円)が割り引かれる。
      • ローンを利用する場合は、いくつかの提携ローン会社を利用することも可能。
      • 本スクール独自のローンプログラムもある。

      卒業生たち

      ※以下は卒業生の一例。個人的に特徴的な経歴だと思った人をピックアップした。

      M. B. 氏、元スクラムマスター。アジャイル開発に共感。

      G. H. 氏、元米空軍軍曹。娘と共作でおとぎ話を作成中。家具作りも行う。

      D. S. 氏、元会計士。クライアントにフォーカスした仕事が得意。

      D. V. 氏、元プロバスケットプレーヤーで、トレーダーを経て、プログラマーに。

      スクールの様子


      Git性格診断

      Gitで性格を診断するコマンド。

      結果の数値が高いとチームメンバーから嫌われる可能性がある。3%程度に抑えておくのが理想で、10%を超えると変質者の可能性がある。

      なおこのコマンドは一点問題がある。実行するとこのコマンド自体の履歴までwcでカウントされてしまうため、何度も実行するとパーセンテージがどんどん上がっていく。これは、grepに正規表現のメタ文字を入れるハックやgrep -vで簡単に解決できるが、こんなジョークコマンドを叩くのは生涯にせいぜい1、2回だろうし、このコマンドの内容が分かりにくくなると何の面白みも無いので、そこまでやらなかった。
      世の中には正しい方法よりあえて間違った方法の方が正しいことがある、というのが私の考え。

      『VOGUE』を手がけるCONDÉ NAST社のビデオサイトと画像管理サービスCloudinary

      『VOGUE』や『GQ』、日本のITギークの間でも人気のある『WIRED』(というか周りで読んでる人はほとんどいないが)の出版元であるCONDÉ NAST社のビデオサイトがなかなか豪快なやり方だ。VOGUEはこんな感じ。


      GQはこんなの。

      WIREDはこちら。

      さらには、GLAMOURallureVANITY FAIRTHE NEW YORKERも。全部見た目が同じ。おそらく内部のシステムも同じだろう。データベースも共有しているかもしれない。

      とは言えこれを個性がないと批判するユーザーはほとんどいないと思う。というのもビデオサイトなんだから映像コンテンツ自体が目的であって外枠の体裁に個性がある必要はないし、そもそもスマホやタブレットのユーザーならそんなことに気付きさえしないかもしれない。

      各媒体の運営者は、「我々は我々独自のサイトを作るぞ!」と言ったかも知れないが、そんなことを自由にやられるとどんどん時間が食われるし、湯水のようにお金が出て行くので、これは正しい経営判断だと思う。

      でこれらのサイト、画像部分はCloudinaryという画像加工・配信サービスが使われている。このサービスは画像をアップロード後、ルールに従ったURLの指定するだけで、リサイズ、トリミング、円形トリミング、回転、顔認識、ぼかし加工、シャープ加工、モノクロ化、セピア化、クオリティ変更、gif、jpeg、pngの相互変換等、様々なことをやってくれる。

      そのためデザインの変更があっても画像のURLを変更するだけで済み、サムネイルやトリミングした画像を再度作り直す必要がない。また一度作成した加工画像はAmazon S3にキャッシュされ、Akamai CDNを通して配信してくれる。AkamaiはFacebookにも採用されているCDNなので、つまり個人がFacebookと同じパフォーマンスで画像を配信できる。それも月額35ドルから(少しの利用ならフリープランもある)。

      VOUGEやGQ等を手がける巨大メディアグループに、画像を取り扱う技術がないはずはないと思うが、こんな部分もCloudinaryを使う事によって技術的アウトソースをしている。

      国内ではそれほど利用されていないようだが、Cloudinaryはとてもいいサービスで、もう2年近く利用しているが、障害もほとんどなく非常に満足している。

      余談だが、VOGUEというと、Joni Mitchellのこの曲を思い出す。歌詞の中に、"There were lots of pretty people there reading Rolling Stone, reading Vogue." というくだりがあってそこが好き。


      コマンドラインでMP3ファイルを等分割する方法(Mac)

      まずmp3spltというツールをインストールする。

      等分割するには "-S" オプションを利用する。例えばdata.mp3を3分割する方法は以下の通り。

      以上。これで3つのファイルが同ディレクトリーに作成される。

      私はこの作業をはじめはGUIツールで行おうとした。3つばかりのGUIツールを試したが、そのどれもが複雑なUIで意味不明なボタンが100個ほどついており、音声グラフが表示されていた。私はただ「ファイルを3つに分割したい」だけだったにもかかわらず、のたうち回った挙げ句、何もできなかった。

      私はあの時、「mp3ファイルを3分割することしかできないGUIツールを1,000円で売りますよ」と耳元で囁かれていたら即座に買っていただろう。

      こういう作業にコマンドラインツールを使うという発想がなかったが、検索すればすぐに見つかった。コマンドラインに慣れている人はコマンドラインツールを使うのがよいと思う。