先日、YouTubeで寺尾紗穂さんというシンガーを発見した。その方の曲を3曲紹介したいと思う。
1つ目は「はねたハネタ」。代々木公園井の頭通りの交差点での人身事故の話。
途中、人をはねておきながらそれを茶化すような歌詞があったので一瞬不快に感じたが、最後はとんでもない展開になる。
2つ目は「アジアの汗」。日本の街並を作ってきた「土方さん」の話。私の働くビルも、恐らくあなたのビルも、きっとこうやって作られてきたんじゃないかなと思う。
3つ目は「骨壺」。タイトルを見ると死別の話のようだが歌詞をよく聴くとそうではない。誰も死んでいない。
三児の母でありながら、執筆家としてホームレスや日雇い労働者、原発労働者の記事も執筆もされている。
「鳴き殺し」という言葉をご存知だろうか?原発労働者は一定時間内の許容被曝量を超えた時にアラームを発する線量計を携帯して作業しているのだが、このアラームがうるさくて作業にならないため音をミュートして作業しているそうだ。このことを「鳴き殺し」というらしい(これはNHKのドキュメンタリーで知った)。
私は先の震災まで、原子力発電所で働く人間は東大の原子力工学やその他工学部出身のエリートだけで、危険な作業はほとんどオートメーション化されているものだと思っていた。労働者の実態を知って、日本が誇る技術力というのもこの程度のものだったのか、と思った。ふと、かつて見たロマンティックな夜景やイルミネーションを思い出し、これらの景色もこのような「鳴き殺し」でできていたのかと思うとなんとも言えない気持ちになった。
最後に、Joni Mitchellの名曲 "Case of You" をどうぞ。私はこの曲で寺尾紗穂さんを知った。