白人男性30人以上の平常時のペニスを見て分かった日本人男性の奇妙な風習

今年の4月から渋谷区や世田谷区など都心部のジムに通い始めて約8ヶ月になる。そしてその間に30人以上の白人男性のペニスを見てきた。別に私はそれらを肩越しに盗み見してきた訳ではない。勝手に見えるのだ。彼らの多くがシャワーやサウナの利用前後、下半身をタオルで隠すこともなくこれ見よがしに更衣室を歩き回るもんだから、目に入らない方が逆に不自然である。

で、だ。日本人男性の皆さんは、白人男性の平常時(非勃起時)のペニスの形状がどのようなものかご存知だろうか。勃起時のペニスなら洋物のアダルトビデオで見た経験は一度や二度はあるだろう。しかし平常時のペニスを見た経験がある人、特にそれらを統計としてある程度信頼できるレベルのサンプル数見てきたという人はあまりいないだろう。

もう結論から書こう。白人男性30数名の内、多くの日本人男性が理想とするところのペニスの形状、つまり平常時でも包皮が亀頭に被っていない、日本語で言うところの皮が「ムケた」状態の人はわずか3人だった。残りの9割が、その逆の包皮が亀頭に被っている状態、日本語で言うところの「仮性包茎」のペニスだった。

写真:中世ヨーロッパで制作されたダビデ像の下半身。私が目撃してきた白人男性のペニスの形状はほぼこれ。日本ではこれを「仮性包茎」と呼ぶが、これは国際的に認められた医学用語ではなく『ステッドマン医学大辞典』にも登録されていない。また、外国ではこの状態が普通であるため一般的な呼び名も存在しない(Wikipedia: 包茎)。
なお、勃起時にも包皮が被った状態のことを日本では「真性包茎」と呼ぶが、国際的にはこれを単に「包茎(Phimosis)」と呼ぶ。こちらは医学上の問題も多く、日本では健康保険の範囲内で治療できる。しかし、そもそも罹患者が少ないため、外国では「包茎(Phimosis)」という言葉自体、一般人は知らない専門用語であると個人的には推測する。(ブリガムヤング大学が作成した米語頻出60,000語の中にこの単語は存在しない。なお成人英語話者の平均語彙数は30,000語程度である。)

いちばん初めに目撃した男性は今も記憶にある。彼は素っ裸で鏡の前でまさにダビデ像のごとく仁王立ちし、筋肉隆々の自分の姿を眺めていた。その鏡ごしに見える包皮が被ったペニスを見て、私は「おや、イメージと違うな、まぁ外国人でも包皮が被った人もいるのか」と軽く流した。続く2人目も3人目も、包皮が被っていた。ヨーロッパでは割礼(乳幼児の時期に包皮の先端を切除する行為)があまり行われないことを以前から知っていたが、なぜか「白人のペニスは包皮が被っていない」という根拠のない先入観があり、「たまたま包皮が被った人に連続して遭遇しただけだろう」と考えていた。外国人の包皮の有無のカウントを取り始めたのもこの頃である。さらに、5人、6人、7人、と連続して同じような状態が続いた時、いよいよこれは偶然にしては何かがおかしいと考えるようになり、GoogleやWikipediaなどで調べはじめた。

そして、10人、15人、20人同様のペニスを見て、「もう分かったから勘弁してくれ!私が間違っていた!」ともし目の前に机があれば、バンと叩きたくなる気分になっていた。当たり前だが彼らに対して怒っている訳ではない。「外国人のペニスは包皮がない。包皮がないのが正しいペニスで、あるのは間違ったペニス」というようなデマが横行しているこの社会と、またこの歳になるまでそのようなデマに気づかなかった自分自身に腹が立っていたのである。(というよりも思春期を過ぎてからはペニスの形状に関心がなくなっていたが。)

    ひるがえって日本人のペニスはどうだろう。これはジムに行かずとも、銭湯や温泉などで目にすることが多いが、私の感覚値では高齢者はほとんど、若い世代でも過半数以上、全体的に7〜80%程度が包皮が被っていない状態だ。割礼の習慣がないにもかかわらず、である。

    やや古いデータだが1966年のドイツでの調査によれば、割礼を受けていない成人の内、92%が包皮が完全か、あるいは部分的に被っているらしい(Wikipedia: 包茎)。つまり特別な処置をしなければ基本的には包皮が被っている状態が普通なのだ。にもかかわらず、なぜ大半の日本人のペニスは包皮が被っていないのか。その理由は、思春期に「包皮が被っているのは恥ずかしい」と信じて、入浴中やトイレなどで必死に包皮をむく作業に勤しんだからである。しかもこの作業は一夜にして終わらない。来る日も来る日も切実な思いでこの作業に励まなければならない。あぁ、なんてアホくさい、その苦労とそれに費やした時間は一体なんだったんだろうか。外国人(特に白人)が持つと言われている「正しい」ペニスに憧れて、費やした時間。しかしいざ実際の白人を見てみると、自分たちが良しとしない包皮の被ったペニスだったなんて。これはもう悲劇を通り越して喜劇である。この奇習と言っても過言ではない習慣が、日本において、いつ始まったのか、なぜ始まったのか、専門家による文化人類学的考察が必要であろう。さらに日本では、本来なら治療の必要のない包皮を美容的観点から切除するというビジネスまであり、これについてはシンガポール南洋理工大学のGenaro Castro-Vázquez教授による考察が書籍化されている(Amazon: Male Circumcision in Japan)。

    図:割礼が行われてる比率を国ごとに色で示した地図。より赤く表示されているのはより割礼比率の低い国。前述の「割礼を受けていない人のほとんどが包皮が被っている」というドイツの調査結果を掛け合わせると、この図はずばり「仮性包茎比率マップ」とも言える。赤色が「仮性包茎国」、青色が「割礼国」である。例外は日本。日本は割礼の習慣がないにもかかわらず、前述のような習慣やビジネスがあるため仮性包茎の比率が低い。こんな国はおそらく日本だけであろう。

    なお、欧米諸国の中で唯一の割礼比率が過半数を超えるアメリカでも、近年、Intactivist(反割礼活動家、"intact" + "activist" の造語)と言われる人たちの出現や、1998年にアメリカ小児科協会が医療的理由での割礼の推奨を停止したこともあり、人道的側面、医学的側面の論争が続いている(Wikipedia: Circumcision controversies - 割礼に対する論争)。

    写真:反割礼活動家の映画俳優アラン・カミングは言う。「私には包皮がある。私はそのように作られたんだ。包皮はなんの意味もなくそこにある訳じゃない。」
    タートルネックで包皮が被った状態を表している姿は日本の美容外科の広告と同じだが、その趣旨は「真逆」である。

    映像:反割礼活動家の街頭での活動。時折親指を立てて(Thumbs up)賛同を示す通行人もいる。また「割礼は安全に行われている」と言う反論者に対して、反割礼活動家は「割礼で毎年100人以上の子供が命を失っている」と説明する。「アメリカで割礼が行われているのは、医者の金儲けのためだ」と。

    これらの事情もあってか割礼大国アメリカでも割礼比率は近年減少傾向にあり、またカリフォルニア州など西部の州の割礼比率は20%程度というデータもある。また割礼によって失われた包皮を様々な器具や外科治療によって取り戻すという、日本人男性が知れば目を疑いたくなるような試みもある(Wikipedia: Foreskin restoration - 包皮の復元)。また一方で、割礼はHIVの感染リスクを低下させるという医学上のメリットも報告されており、WHO(世界保健機関)は特にHIV感染の高い国(アフリカ等)に対して、割礼を推奨している

    どちらにせよ、ヨーロッパ人が包皮の存在による明確な医学的、社会的不利益をこうむっていない現在において、包皮が被った状態を「正常でない」「恥ずかしい」などと判断するのはやめた方がいいだろう。しかしツイッターで「仮性包茎」で検索した結果を見ると、日本人の多くが包皮が被った状態を正常でない状態と考えているようだ。

    起業家であり都知事選に出馬した経験のある家入一真氏のツイート。「包茎でも起業出来る(彼はツイッターで仮性包茎であることを自認している)」と述べて同じペニスの形状の男性に勇気を与えてるつもりだろうが、逆に仮性包茎は間違ったペニスの形状だという印象を与えてしまっている。このようなツイートは、少数派である自分をさらけ出すことによって高感度を上げる狙いがあるのであろうが、そのペニスの形状は世界では多数派である。

    これらのような誤解が原因で、一部の日本人男性が自分の体に対して不必要なコンプレックスを抱き、それがセックスや恋愛に消極的になる原因の一つだとしたら、これは少子化問題が深刻な日本にとって国家的な損失につながるであろう。(というか私が思うにほとんどの女性が男性のペニスの形状に対する関心はないと思う。)もう一度言う。包皮が被ったペニスの形状は、メージャーリーグで活躍するアメリカ選手とは少し違うかもしれないが、プレミアリーグやリーガ・エスパニョーラで活躍するヨーロッパ選手とは同じなのである。

    写真:ジョン・レノン(イギリス人)とオノ・ヨーコ。調査によれば、イギリスでの割礼率は1930年代には35%あったが、1980年代に6.5%にまで減少し、2000年には3.8%であった。つまり現在のイギリス人男性の約95%が、このジョン・レノンと同じペニスの形状だということになる(Wikipedia: Prevalence of circumcision - 割礼の普及度)。

    (2016/1/1 追記)

    日本語で言うところの皮が「ムケた」立場の人へ:

    ここに書かれたような情報は、あなた方の逆の立場、つまり日本語で言うところの「仮性包茎」の立場の人は単純にシェアしにくい。ゆえにこのような情報が世の中に広まらず、今だに不毛な悩みをもつ人たちがあとを絶えない状況にあるのではないだろうか。

    もしこれを読んで何か感じるものがあったなら、コンプレックスを感じてないであろうあなた方に積極的にシェアしてほしい。この現状を変えられるのは、むしろあなた方なのである。

    47 responses
    興味深い記事に感謝します。ただひとつ疑問なのですが、包茎と仮性包茎を無条件に同一視しすぎじゃないでしょうか。ジムで見た白人の包茎がすべて仮性だと考える根拠が不明ですし、「包茎でも起業出来る」というツイートを「(仮性)包茎でも起業出来る」と解釈する理由もわかりません。が、コメントしようと思った理由はそんなケチ付けではなくて、その30人の陰毛の有無の割合、有の人のうちの金色陰毛の割合を教えていただきたいと思ったからです。リンクは私のブログです→ http://dragox.exblog.jp/20468558/
    越前なんて皮被りを揶揄する古い言い方もあるくらいで、日本で包茎が良く思われないのは外国人もレノンも全く何の関係も無く、単に江戸以前からの伝統です。春画が典型的ですが日本には巨根への信仰のような強い感情が元々あり、そこから一人前なら剥けてるもんだという風潮が発生して行ったのです。
    前提として偏見と知識不足がひどくてシェアするに値しない 日本人だって仮性包茎の方が多いのなんて常識レベルだし 家入氏のツイートの引用も恣意的すぎる
    ここのコメントみてるとなおさらだけど"剥けてる自分"にアイデンティティーを感じてる人っておおいんだなーと。
    なんだコリャ
    つーか、高須院長が自分が金儲けのために包茎を悪で宣伝したって言ってるしな。
    ググってみたら、 「江戸時代の川柳で「皮かぶりでは無いからと御縁組」というのがあり、江戸時代には「包茎は恥」とする文化がすっかり定着していた模様ですから江戸時代以前よりから現代まで延々と染み付いてきた文化ですね。」 と有りました。 http://houkei.golyz.com/cat58/000565.html
    見栄剥きでググれ
    理詰めが長過ぎて最後まで読むのが面倒臭くなりましたが、とにかく、真性包茎のペニスは臭うものが多い。きちんと洗って清潔にしてくれ。子宮頸がんの原因にもなる。そこんとこ記事にしてくれ。女子側は切実。
    ズル剥けは一目で分かるが、被ってたら一様に仮性とするのは如何なものでしょうか? 仮性・カントン・真性の比率も調査するべきです。
    >nobioxさん ツイートの件は注記を入れておきました。陰毛の色までは見てません…。
    >クロネコヤマトさん、Dr. Roy Ich-Meyerさん 江戸時代からですか。それは知りませんでした。 先日韓国の方とこの話をしたんですが、韓国では朝鮮戦争後、米軍がきて割礼が一気に広まったそうです。
    >たなさん > 見栄剥きでググれ ググった!ワロタ! これぞ奇習じゃないですか!笑
    >askさん 子宮頸がんについては関心を持っていたところなので、また今度調べてみます。ありがとうございます。
    >なーさん 健康保険範囲内で治療できる状態のものは、治療を受けてると想定していました。 多くの西洋人は皮が被ってること、というのがこの投稿でのポイントでしたので、仮性・カントン・真性の比率の調査は割愛しました。
    この国に於いて包茎問題は単に個々のコンプレックスの問題では片付けられません。 少年誌や青年誌が広告主の美容外科と結託して青少年の誤解、不安心理につけこんで 暴利を貪って来たわけですから人権問題と言ってもいいのでは無いかと。 マスコミや医学関係者、人権に五月蝿い人達が何故放置しているのか不思議です。 ネットで包茎で検索すると美容外科に誘導するサイトばかりです。 この状態を放置している限り今後も被害者は後を絶たないでしょう。
    北米在住のゲイで、かなりの数の白人男性のペニスを見てきました。 書かれていることに大同意です。 ゲイポルノには平常時のペニスもよく出てきますが、かぶっているペニスになんら羞恥心や嫌悪感がありません。 そればかりでなく、勃起時にも亀頭をかぶらせることの出来るほどの包皮を自慢げに見せている男優もいて、割礼をしていないペニス(Uncut)が好きな男性には人気です。 おそらく、日本人が思春期のころから剥く習慣をつけて亀頭を露出させるように、 勃起してもなお亀頭を被せられるほどの包皮を持つ男性は、マスターベーション時に意識して包皮を伸ばしているのだと、彼らのマスターベーション動画を見て思います。 他の方が書き込まれているように、江戸時代から「一皮剥ける」の言葉など 剥かれた状態を好ましいと考える文化的な側面があったのも事実でしょうが、 近代に美容整形のコンプレックス産業によって 割礼されていない状態=仮性包茎=好ましくない状態とイメージ付けられたことは紛れもない事実でしょう。 仮性包茎にかかわらず、体臭や脇の臭い、大きな尻、股間の膨らみ、Tシャツの上から見える乳首、髭や胸毛など世界的に「男性らしさの象徴」と考えられている特徴を、日本では恥ずべきもののように扱われているものが多くあります。 例えば、欧米では股間に膨らみがあることが当たり前かつ魅力的と考えられ、 白人男性は(もっこりするように)ペニスは下向きにして下着を履きますし、 若者が異性の前でカッコつけたい時に丸めた靴下を下着にいれたり、ジーンズを選ぶ時も股間がもっこりするデザインを好んで選びます。 一方、日本では水着の謳い文句に、「股間の膨らみを抑える」とあるほどです。 (これもある意味、男性性のコンプレックス産業化です) 日本は性へのアプローチが二極化されていて 処女思考だったりタブー視される(そしてそれこそが興奮する要素とされている)一方、性を扱った商品やサービス(コンテンツから風俗)がどの国よりも豊富です。 リスクや羞恥心、(誤った)情報の中で、経験よりも頭でっかちになったアプローチが日本のセックスレスを作っていると思います。 仮性包茎が子宮頸がんの原因になるとのコメントがありましたが、 子宮頸がんは性行為感染症のヒトパピローマウイルス(HPV)が原因です。 見出し記事のような情報から仮性包茎が原因と誤解すると、正しい理解や予防を妨げます。 子宮頸がんには割礼したペニスか否かを案じるよりコンドーム使用と定期検査の方が遥かに重要です。
    グ ダ
    実に興味深い。 日本語でいう「仮性包茎」は西洋では正常で、英語での呼び方は日本語の表現を訳したものだ。 さらにいうと、いわゆる「仮性包茎」は、西洋人に限らず、人間男性の普通の状態だ。 日本で行われる、包皮が亀頭に被らないようにする、という習慣は、 日本の文化の一部とも言えるが、勘違いから生まれたのだろう。 詳しくは分からないが、何らかの「作業」を繰り返すことで常時の状態を「被っている」から「何もしなくても被らない」に変える、というわけなのかな。 であれば、ただの身体改造だな。 日本人は割礼しないのに面倒な身体改造で同じような結果を出そうとするんだな。
    子宮頚癌を生じるなんてバカ女がいるが、 原因は、HPVだ。 自分の「好み」を、包茎に押しつけてはいけない。
    誰か頼む 後1ヶ月で卒業旅行なんだけど、 通常時7センチって小さいかな? めっちゃ怖いんやけど
    この記事の主旨は、日本における陰茎に関する思い込みは実情と異なり、その様な思い込みに振り回される必要はないと言うものなのに… 各人のコンプレックスや、トラウマを刺激するようで主旨から脱線したコメントが多く、それぞれ思考が反映されており非常に興味深い。 ちなみにニューイングランド ジャーナル オブ メディスン(世界的に権威ある査読制の医学雑誌)に割礼とHPV(子宮頚がんウィルス)に関する研究結果が出てますね。 https://www.nejm.jp/abstract/vol346.p1105 割礼済み男性のHPV感染率の方が非割礼男性より低く、女性パートナーの感染率も低いと。 割礼済み男性≒剥けた男性とすると、確かに剥けてるか剥けてないかは感染率に関係あるでしょうが… 男性でも女性でも全てのSTD予防のために性行為前のシャワー(洗浄)およびコンドーム装着の方が対策として有効でしょう。
    25 visitors upvoted this post.